仕切弁トラブルシューティング
どのようなトラブルが発生していますか?
どのように漏れが発生していますか?
弁体と弁座の間から漏れが発生しているようです。考えられる要因と,対応処置を説明します。
要因1.シール面への異物噛み込み
シール面に錆片などの異物が噛み込むことがあります。
対応処置
一旦弁開(シール面のラップ範囲以上)して弁座シール面間に混入している異物除去を試み,再度弁閉しリーク状況を観察します。シートリークが改善されない場合は,シール面が荒れている(損傷している)と考えられるため,分解・点検・手入れを実施します。
関連ページ:弁座取替補修
要因2.シール面の当り不良
当り面の平面精度や勾配角度が劣化して,当り面の密着性が低下している可能性があります。
要因3.シール面の損傷
シール面への錆などの異物噛み込み,微開使用などの運用間違いなどによってシール面が損傷することがあります。
対応処置
クラック・エロージョン・キャビテーション等による弁座シール面の損傷を修正する必要があるため,分解・点検・手入れを実施します。損傷状態によっては,弁体・弁箱を取替えます。
関連ページ:弁座取替補修
要因4.ジスクストッパー設定不良
ジスクストッパーの設定が過度な弁体浮かせ勝手となるような誤った設定になっている可能性があります。
対応処置
ジスクストッパーの設定位置を確認し,調整基準値を外れている場合は適切な位置に調整します。
要因5.リミットスイッチの設定不良・故障(電動弁)
シーティング方式がリミット切りの場合,過度な弁体浮かせ勝手となるような誤った設定になっている可能性があります。
対応処置
リミットスイッチの設定位置・作動状況の確認を行います。設定位置が不良な場合は,適切な位置に再設定します。作動不良・損傷の場合は新製交換します。
要因6.結線不良等(電動弁)
過度な弁体浮かせ勝手となるような位置で弁が停止している可能性があります。
対応処置
結線状態を確認し,異常が確認された場合は修正を行います。
要因7.低差圧でのリーク
当たり面に十分なシール面圧が発生していない可能性があります。
対応処置
低差圧ではシール面圧不足となり,リークが発生するため,運転状況を確認します。微圧域でのシールが必要な場合は,ストッパー解除を行い弁体の手動増締めにて対応します。
パッキンに関わる部品が原因で漏れが発生しているようです。要因別に対応処置を説明します。
要因1.パッキンの劣化
耐用年数を超える長期使用などで復元性が低下します。
対応処置
パッキン交換を行います。
要因2.パッキンの締付け・増締め不足・片締め
グランドボルトの締め付けが不十分な場合,パッキン面圧が低下します。
対応処置
速やかにパッキンの増締めを行います。上記処置を実施してもリークが停止しない場合はパッキンの交換を実施します。
要因3.スタフィングボックス内面・弁棒等各部品の傷
スタフィングボックス内の傷はリークルートになることがあります。
シールリングに関わる部品が原因で漏れが発生しているようです。要因別に対応処置を説明します。
要因1.シールリングの締付け・増締め不足
締め付けが不十分な状態の場合,シールリングの面圧が低下します。
対応処置
速やかにシールリングの増締めを行います。上記処置を実施してもリークが停止しない場合は,分解・点検・手入れ(シールリングの交換)を実施します。(*弁開操作が可能であれば締付けおよび増締め時は,弁を全開しバックシートを効かせたうえで締上げを行い,ボンネットの芯出しと均等な締上げを図ります)
要因2.ボンネットの片締め
要因3.シール部位に異物の混入
片締め状態の場合,シールリングの面圧は不均一になります。
ガスケットに関わる部品が原因で漏れが発生しているようです。要因別に対応処置を説明します。
要因1.ガスケットの劣化
耐用年数を超える長期使用などで復元性が低下し面圧が低下します。
対応処置
分解を行い,ガスケットを交換します。
要因2.ガスケットの締付け不足・片締め
締め付けが不十分な状態の場合,ガスケットの面圧が低下します。
対応処置
速やかにガスケットの増締め(均一な締付け)を行います。上記処置を実施してもリークが停止しない場合は分解・点検・手入れ(ガスケットの交換)を実施します。
関連ページ:フランジガスケット当り面補修
動きがおかしいのはどちらですか?
バルブ本体に何らかの異常が発生しているようです。考えられる要因と,対応処置を説明します。
要因1.弁棒摺動面の損傷(傷,曲り,発錆等)
傷,曲り,腐食などによって摺動抵抗が増加し作動に影響することがあります。
対応処置
弁棒に傷・曲り・発錆等が目視確認された場合は,分解・点検手入れを行います。なお,有意な異常が確認された場合は,弁棒の交換を行います。
要因2.差圧過大
設計計画以上の差圧は,作動不良を発生させる可能性があります。
対応処置
運転圧力(差圧)を確認し,設計計画値以上の場合は,差圧を下げ操作を試みます。
要因3.ジスクガイド部の損傷
弁体および弁箱のガイドの損傷により摺動抵抗が増加することがあります。
対応処置
操作時に弁箱よりの異音・振動の有無を確認します。異常が確認された場合は,分解調査を行います。
要因4.パッキン締付け過大
過剰な締め付けによって,摺動抵抗が増加し作動不良を発生させる可能性があります。
対応処置
目視にてパッキンの過剰締め付け(パッキン押さえ輪の過剰な入り込み)が確認された場合はパッキンを交換し,適切な締め付けを行います。
要因5.弁体の過剰突っ込み
閉側停止位置で弁体が弁座間に過剰に突っ込んだ状態になると,開操作時に作動不良を起こす可能性があります。
対応処置
ジスクストッパー,リミットスイッチ調整位置を調査し,弁体が突っ込み勝手となっていた場合は,再調整を行います。弁体抜き取り作業につきましては,特殊作業となりますので,弊社へ問合せ下さい。
操作機もしくは関連部品に何らかの異常が発生しているようです。考えられる要因と,対応処置を説明します。
要因1.弁棒およびステムブッシュねじ面の潤滑不足
ねじ部の潤滑不足により,摺動抵抗が増加している可能性があります。
要因2.トルクスイッチの作動不良および設定不良
シーティング方式がトルク切り(又はトルクバックアップ付)の場合は,トルクスイッチの作動や設定値が影響している可能性があります。
対応処置
トルクスイッチの設定目盛・作動状況等の確認を行います。設定目盛が異なる場合は,適切な値に再設定します。作動不良・損傷の場合は新製交換します。
要因3.操作機内の部品の摩耗損傷
操作機内部の機械部品の損傷によって,出力低下などが影響している可能性があります。
対応処置
操作時に操作機よりの異音・振動の有無を確認します。異常が確認された場合は操作機の分解点検を行います。(異常があれば部品交換)
電動操作機の点検は,現品持ち帰りが必要な場合があります。
異常高圧発生要因
弁箱内に流体が取り残された状態で,初期段階より高い熱が加えられると内部流体が体積膨張し異常高圧が発生します。(仕切弁特有の現象)
以下の運用状態があてはまる場合は,異常高圧発生が疑われます。
①水圧試験時に弁閉され,その後開操作を行われず起動時等に弁が加熱される状況にある。
②バランスホールあるいはバランス弁が未設置の弁で,弁体が突っ込み状態である。
異常高圧発生時に弁に現れる事象
・弁開操作不能
・ボンネットの異常な上昇(ボンネット引き上げボルト等の異常な緩み)※プレッシャーシールボンネットタイプ
・弁箱懐部の膨らみや変形
・フランジリーク,ボンネットリークあるいはパッキンリーク
対応処置
上記事象が確認された場合は,弊社へ連絡願います。部品の状況によって,弁一式交換となる場合があります。