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バルブのサイジング「用途に合わせた弁種の選定」



 流す、止める、調節する、圧力を保持する。

 プラント運転の効率化を実現する為に、最適なバルブをサイジングするには、それぞれの弁の特徴を理解しておく必要があります。バルブの種類は多種多様であり、その詳細は日本工業規格JIS B0100「バルブ用語」に記載があります。ここでは高温・高圧弁に代表的に使用される仕切弁・玉形弁・逆止弁(JIS B0100では逆止め弁)のサイジングにあたっての特徴を紹介します。



仕切弁・玉形弁の比較


 流体を止める閉止弁としての機能は仕切弁・玉形弁とも共通ですが、その特徴の比較を簡単にまとめると以下の通りとなります。


  仕切弁 玉形弁
 圧力損失  小さい  大きい
 操作力量  小さい  大きい
 弁閉時のシール性  やや劣る  優れている
 弁座面の摺合せ  やや技術・熟練を要す  容易
 流量調整  不適
 (エロージョン・キャビテーション
  損傷が懸念される)
 可能
 (但し、ニードル弁とする)


仕切弁の特徴


 流体を止める閉止弁としての機能を満足させる為に最も単純な構造であるのが仕切弁です。その名の通り、流れの中に弁体と呼ばれる仕切板を差し込むことで、流れを遮断する構造です。弁全開時には流体の流れが一直線となることから、圧力損失を小さくすることができます。

仕切弁

仕切弁には以下の構造上の特徴があります。

①圧力損失が小さい
 流体の流れが一直線上となることから、玉形弁に比べ、圧力損失が小さくなります。

②弁座シールのために差圧が必要
 弁体が仕切り板の形状となる為、流体の圧力を利用して弁体を弁座に押し付け、シール力を確保する構造となります。このため、弁座シール力を確保するには一定の差圧が必要です。

仕切弁

③全開、又は全閉で使用する
 流体の圧力による弁体の弁座への着座性を良くするために弁体は弁棒に完全に固定しない構造となります。また、弁体が流路の中に残っている状態では、局部的に流速が最大となり、振動、騒音の原因となる可能性があるとともに、エロージョン・キャビテーション損傷も懸念されます。

仕切弁 仕切弁
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④弁リフトが大きい為、開閉操作に時間を要する
 弁体が流路に残らないようにするためにリフトを大きくとる必要があります。このため、開閉操作に時間を要します。

仕切弁

玉形弁の特徴


 基本的に弁体が弁棒によって、弁座に垂直な方向に作動します。一般に玉形の弁箱を持ち、入口と出口の中心線が一直線上にあり、流体の流れがS字状となる構造です。弁箱の形が球のように見えることから、玉形弁と呼ばれています。差圧条件が小さい場合でシール性が要求される場合や圧力や流量を調整する目的での中間開度使用がある場合は玉形弁を使用します。なお、呼び径50A以下の小口径弁の場合、仕切弁よりも玉形弁を採用するケースがほとんどです。

玉形弁

玉形弁には以下の構造上の特徴があります。

①弁体を押し付けることで流れを遮断する
 流体の流れや差圧状況に左右されず、強制的にシール力を確保することができます。仕切弁に比べ、弁閉時のシール性が良いのが最大の特徴です。

②圧力損失が大きい
 弁箱内部の流路形状が、仕切弁に比べ複雑であり、圧力損失が大きくなります。呼び径50A以下となるような小口径弁の場合、圧力損失を小さくする要求が少ないことから、玉形弁を採用するケースがほとんどです。

玉形弁

③流量の調整に適している
 圧力損失が大きい反面、弁出口側の圧力や流量を制御し易くなります。計画的に流量制御を行う場合は、弁体をニードルにする必要があります。但し、流量条件が厳しく、弁内部がエロージョンされるような条件となる場合は特別に設計された対策弁を検討する必要があります。

玉形弁

④操作力量が大きい
 流体に抗して弁閉操作を行う為、必要な弁操作力が仕切弁に比べ大きくなります。

⑤面間寸法が大きい
 弁箱の形状が複雑な為、仕切弁の面間寸法と同じか、それ以上の寸法が必要となります。



逆止弁の特徴


 逆止弁とは、流れ方向を常に一定方向に保ち、流体が逆流した場合、弁体を押して逆流を防止する自動作動弁です。逆止弁の機能部品は全て圧力境界の内側にあり、その開閉は流体の流れ方向に規制されること、及び一般には弁体の位置が確認出来ないことから、運転中の管理が難しく、機能が弁設計に依存される弁となります。逆止弁に要求される機能としては下記が挙げられます。

逆止弁 逆止弁

①圧力損失が小さく、流れを乱すことが少なく、出来るだけ少ない流量でも弁体が容易に開き、流体を完全に通過させること
 シート径を大きくして流路面積を増やせば圧力損失が小さくなりますが、大きすぎると流速が遅くなり、弁体を開させる流体動圧が小さくなります。また、弁体が大きくなり、重たくなる為、開きにくくなります。また、圧力損失を小さくする為に弁開度を大きくすると逆流時の流量が増加し、水撃上昇圧力(ウォーターハンマー)が大きく発生すると同時に、弁体が弁座に激突して弁座面の損傷を生じさせるなど機能上の問題は相反する傾向にあるので、注意が必要です。

②逆流時、水撃上昇圧力が小さいこと
 逆流時、速やかに弁閉しなかった場合、逆流量が多くなり、水撃上昇圧力(ウォーターハンマー)が大きくなります。水撃上昇圧力(ウォーターハンマー)が大きくなると、上流側の機器の損傷の原因になることも考えられる為、逆流時にはできるだけ速やかに弁閉できるよう、逆流量を少なくして水撃上昇圧力(ウォーターハンマー)を小さくする必要があります。よって、開き易く、閉じやすい弁の設計が必要です。

③逆流時、弁体が弁座に密着して漏れが無いこと
 自重で弁体が着座し易いように、弁体アッセンブリーの重心位置の設計配慮や着座性を良くする設計配慮が必要です。

逆止弁