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バルブのサイジング「バルブの呼び径の決定」


流速を考慮したバルブの呼び径の選定


ここではバルブの呼び径のサイジングを紹介します。

呼び径とは


バルブや配管のサイズを表す為の呼び寸法を呼び径といい,下表の如く規格により定められています。
バルブはこの呼び径とレーティング(圧力・温度基準)によって,その大きさが決定されます。


表.呼び径と配管外径寸法との関係

呼び径

(メートル系列)
呼び径

(インチ系列)
配管外径
(mm)
6 1/8 10.5
8 1/4 13.8
10 3/8 17.3
15 1/2 21.7
20 3/4 27.2
25 1 34.0
32 1 1/442.7
40 1 1/248.6
50 2 60.5
65 2 1/276.3
80 3 89.1
1004 114.3
1255 139.8
1506 165.2
2008 216.3
25010 267.4
30012 318.5
35014 355.6
40016 406.4
45018 457.2
50020 508.0
55022 558.8
60024 609.6
65026 660.4

 

弁接続部図

バルブは配管に接続される為,両者の
接続部の寸法を一致させる必要があり,
バルブの呼び径は原則として配管の
呼び径に合わせます。

備考:呼び径はA及びBのいずれかを用い,Aによる場合はA,Bによる場合はBの符号を,
それぞれの数字の後に付けて区分する。


バルブの呼び径のサイジングについて


プラント全体のコンパクト化やコストを考慮した場合,バルブや配管の呼び径はできるだけ小さくすることが望まれます。バルブは構造的に配管よりも配置スペースを必要とするため,バルブをコンパクトにするには,バルブの流路径を配管内径に比べ小さく(狭く)することが効果的です。


弁接続部図
<<配管接続部拡大図>>

ただし,バルブや配管の呼び径を小さくした場合は内部流体の流路が小さく(狭く)なり,流速が速くなります。また上述のように,バルブの流路は配管に比べ小さく(狭く)することになるため,配管よりもバルブ内部の流速の方が速くなる傾向があります。

バルブ呼び径:大

⇒バルブ内部流速:低
バルブ呼び径:小

⇒バルブ内部流速:高

バルブ内部の流速が速過ぎると,様々な不具合が発生することが考えられます。 以下に,流速が速い場合の配管系統上のメリットとデメリットを示します。 メリット,デメリット両者を評価した上で最適な呼び径を決定する必要があります。

1.メリット
① 呼び径が小さくなるためスペース及びコスト上有利である。
② 質量が軽くなる為,サポート等が不要となる場合がある。
バルブ内部流速:低
バルブ呼び径:大

⇒弁質量が重くなり,サポートの必要性:大
バルブ内部流速:高
バルブ呼び径:小

⇒弁質量が軽くなり,サポートの必要性:小

③ 呼び径が小さくなるため配管のフレキシビリティが増し機器への反力を小さくできる。
バルブ内部流速:低
バルブ呼び径:大
配管のフレキシビリティ:小

⇒機器への反力:大
バルブ内部流速:高
バルブ呼び径:小
配管のフレキシビリティ:大

⇒機器への反力:小

2. デメリット
① 圧力損失が増えるためポンプ動力が増加する。
バルブ内部流速:低
バルブ呼び径:大

⇒ポンプ動力:減
バルブ内部流速:高
バルブ呼び径:小

⇒ポンプ動力:増

② 流体が極端に高速となる場合, 浸食によるバルブの減肉が発生することがある。

逆止弁玉形弁 仕切弁

<<逆止弁>>

<<玉形弁>>

 

<<仕切弁>>


③ 流速が速いと振動, 騒音が発生することがある。

逆止弁 玉形弁 仕切弁

<<逆止弁>>

 

<<玉形弁>>

 

<<仕切弁>>


弁内部の流速が早いことが懸念される場合には,こういった不具合が発生することを避ける為にバルブの呼び径を大きくすることが必要となります。 常時流体が流れる仕様であればその影響はより顕著となるため,バルブの呼び径のサイジングは,バルブ内部の流速と使用頻度とを総合的に判断して決定する必要があります。



配管の呼び径のサイジングについて


バルブの呼び径のサイジングについて述べてきましたが,現実にはバルブの呼び径は,予め決定された配管の呼び径に一致させることが要求されます。 従って,前述のような不具合を起こさない為には,配管の呼び径をサイジングする際に,接続されるバルブ内部流速が速くなり過ぎないよう,十分な余裕を考慮した呼び径とすることがポイントとなります。

ここで,配管基準での流速の目安としてJIS F7101の例を以下に紹介します。

管内流速標準

図.蒸気,水および油管内流速標準(JIS F 7101 1993年度版より引用)


 なお,流速は以下の計算式で求めることが出来ます。


流速の計算

以上の計算式と基準を参考に,配管流速が基準を超える場合は接続されるバルブ内部の流速が早すぎる可能性がありますので,呼び径を大きくすることをお薦めします。
また,基準を超えなくても使用頻度が高く流速が速くなりがちな対象弁についてはバルブメーカーへその流量条件を提示することをお薦めします。